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マハカーラ

  • し-41〜42 (評論・研究|現代思想・哲学)
  • まはかーら
  • ラージクリシュナ・バタチャールジョ
  • 書籍|B6
  • 346ページ
  • 2,200円
  • 2024/7/7(日)発行
  • これはインド人の夫が書いた、自身の体験、イマジネーション、そして天界からのインスピレーションが織り込まれたスピリチュアルな小説を、日本人の妻がベンガル語から編訳した作品である。
    ページをめくると、インドの信仰に根づいた日常生活や様々な宗教的習慣、コルカタの街並み、カルナタカ州の聖地などが鮮やかな色彩で描写されていて、読者をエキゾチックな世界、神秘の次元へといざなってくれる。
    主人公ボラが綴った日記は、21世紀を迎える前のコルカタ、南インドを背景に、彼の少し変わった生い立ち、少年時代にチベット僧と訪れた不思議な聖地巡礼、そして大切な人達との死別から得た学び、自然の神秘体験など、まるでインドの叡智が散りばめられた玉手箱だった。
    時は流れ、日記は埃をかぶり長い間眠っていた。ある日、ボラと親友オニシュが経営する「シャンカラ珈琲」に、ライターとアーティストの若い二人がやって来て、ひょんな事からその日記のことを聞く。二人は、どこに向かって生きているのか分からない自分達に、ボラの貴重な体験を共有して欲しいと願う。
    そして、その叡智の玉手箱はついに開かれ、次の世代へと受け継がれていくのだった。
    天界と地上が重なる空間で、インドの文化、哲学、死生観にふれ、また、主人公を取り巻く一風変わった人達のキャラクター、不思議な巡礼などの話を通して、読者に幸せとは、また、生きること、死ぬことの神秘を問いかける。
    インド好きにはもちろん、生きづらさを感じている現代人に知ってもらいたい、不思議な世界観が書かれた一冊である。
    「マハカーラ」の裏話!
    20年以上、バタチャールジョ夫妻は、「創造」「維持」「破壊」の神さまの恩寵を感じ、内なる探求を続けながら生活していた。
    2020年、世界は当たり前と思っていた毎日を、言わば「破壊」された。混沌としたコルカタのざわめきも消えた。追い打ちをかけるようにその年、記録に残るサイクロンがベンガル州を襲った。水浸しになったアパートから水を汲み出している時、2006年に夫が書いていた、未完成の物語が見つかった。
    2021年、まだ出口が見えない暗闇の日々を過ごしながら、夫は未完成だった物語の続きを書くことにした。しかし「マハカーラ」はどのような展開になるのか、毎日書き始めるまで、夫でさえ分からなかった! それはまるで、天界からダウンロードされるようだった。
    2022年にベンガル語で出版しようとしたが、夫はパソコンも使えない究極のデジタル恐怖症だったので、手書きだった物語をもう一度夫が朗読し、妻はそれを聞きながら、同時進行で日本語に編訳するという作業に取り組んだ。それができたのは、外の世界に楽しみを求めるという自由を奪われて、金持ちならぬ、時持ちでいたからだった。
    3年間、夫婦二人三脚でこの作業を続けてきたのは、「マハカーラ」は魂が求める究極の自由だったからだ。物質的な報酬など何もなかったけれど、この物語の中では、二人豊かに過ごすことができた。それはまるで「破壊」が終わり、新しい「創造」へと続くような経験だった。

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