この展開を、すべて見切っていたのか。
「・・・灯火(ほのか)。そち、なぜ越周が勝つと言ったのだ」
灯火は瞳を揺らし戸惑いの表情を見せた。しばらく押し黙っていたが、逃げられぬと悟ったのか重い口を開く。
「馬です。赤軍の馬は背が高く足が長いです。乗っている武士も軽装で弓しか持っていませんでした。足元の田は水入り前でまだ乾いています。畦(あぜ)の高さも低く赤の馬ならば乗り越えられます」
戦(いくさ)を見たことのない童(わらべ)が、あの一瞬でそこまで戦局を予想し、判断ができるだろうか。佳政はその可能性を到底受け入れることが出来なかった。しかし、普段物申さない灯火が、どこか確信を持って予言した結末を見事に的中させた。まぐれ、か。それとも天佑(てんゆう)を持つのか。
「灯火(ほのか)・・。お前、いったい――」
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