「いったん、距離置いた方がいいと思う」
大学一般入試の出願が始まった冬休み前の放課後。塚原さんからそう告げられたときの、礼節わきまえた僕のしなやかな態度といったら、それはもう実に紳士的であった。
その「超高校級ジェントルマン」と呼ぶべき美しい立ち振る舞いを一目見れば、花も恥じらう乙女も限界オタクに豹変、僕に向かって耳をつんざく黄色い声をあげるに違いない。
突然の別れ話にウブな瞳をウルウルさせて、オロオロ狼狽しながら「なんでだよ!」「他に好きなヤツできたのか⁉」などなど、震える金切り声で彼女に詰問するしかないナイーブな男子高校生諸君には、理性的紳士であるこの僕の所作を、ぜひとも見習ってほしい。