シカトするお前らへ/市街地ギャオ
(第40回太宰治賞受賞「メメントラブドール」著者)
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わたしの声なんて聞かないあなたへ/衿 さやか
(文學界2023年6月号「泡のような きみはともだち」著者)
やっとやりたいことをやれるようになった気がします。
小説・エッセイ・そして……
今の自分たちにしかできないことを言葉で表現したい。いまのこの瞬間にしか生まれない言葉だけを持っていたい。たとえそれが美しくはなくとも。
あのときの自分たちが想像していなかった場所で、あのときの自分たちが抱えていた気持ちを放流します。
お前が誰かを腐して
お前が何かを嗤って
お前は高いところからそれを見ている
さぞかし楽しいことでしょう
かわいそうなときだけ優しいね、
お前もあなたも
わたしたちはいつも忘れてしまう
大切なことを忘れてしまう
忘れきった先に残った僅かな温度だけが
確かにあるものなのかもしれない
ひとりぼっちからひとりぼっちへ
聞こえてなくてもいいから言うね
ねえ あなたは今も夜の片隅にいるの?
わたしは起きているから 安心してね