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カムvol.15

  • B-29 (小説|純文学)
  • かむ
  • あぶらみ・中山文子・山本一男・田中一葉・釈行成
  • 書籍|A5
  • 112ページ
  • 300円
  • 2018/01/01(月)発行
  • 「ランチ遊戯」 あぶらみ

    オレと松っちゃんは、勉強も運動もニガテ。中学校での楽しみはお弁当の時間だけ。なのに母ちゃんらは無茶してくるなぁ。オレの弁当箱には昨日の残り物のおでんがいっぱい、松っちゃんのはインゲンマメとゴハンのみ。クラスメートの足立さんみたいな、お母さんの愛情たっぷり栄養たっぷりなお弁当が食べたいな。「うーん食べるか」「どういうこと?」「ちょっとだけつまんで、寄せればバレないやろ」――教室から皆が出ていったあと、オレたちはそっと足立さんのお弁当のフタを開けてみた。

    「お母さんの子どもたち」 中山文子

    お父さんが出張の日、うちは外食の日です。私と弟の高志、二人ともとっても楽しみにしていました。なのにファミレスに向かう車の中で、お母さんが「今日はほかの子たちも一緒でいい?」と言い出しました。お母さんは小学校の先生で、いつも「かわいそうな子どもたち」を助けてあげています。知らない子と一緒にご飯を食べるなんて嫌ですが、お母さんを悲しませたくないから聞き分けのないことは言えません。車は背の低いマンションの前に停まりました。入口には朝顔のプランターが置いてあります。いったい、どんな子たちが出てくるのでしょう。

    「ストロベリームーン」 山本一男

    元夫からDV被害を受ける母子、徘徊する認知症の老婆と生活力のないその息子、空港に二十四時間居座るホームレス……市役所の福祉課で働く幸樹の前には、さまざまな難題を抱えた人々が現れる。次から次へと対処を迫られる毎日に、少し疲れを覚え始めていた。そんな時、彼女は現れた。真っ白なワンピースに長い髪。立ち尽くす彼女の背後に、妖しい朱の色をした満月が昇りゆく。二十八年前、母もそこに立って空と月を眺めていた――幼い日の記憶がよみがえり、幸樹の心が揺れ始める。

    「儀式」 田中一葉

    あなたは私の主治医。診察しましょう、と私を呼び診察室にいざなう。あなたは私の両手首をつかみ、私の体の方向へ水平に動かす。時間は二秒ほど。すぐあなたは手を離す――診察のたびに繰り返される儀式、理由を聞いたことはない。自宅に夫を残し、遠く離れた病院に入院した私は、双極性感情障害、いわゆる躁鬱病と診断された。病棟のテレビでは不倫の末の嘱託殺人が報じられている。思いが通じた人に自殺を助けてもらうのは、いけないことだろうか。私は手首をつかむあなたの手、あなたの体温の記憶を呼び起こす。温かいあなたの手。

    「胎内くぐり」 釈行成

    死んだ父は酔うと口ぐせのように「御山の番役をしとっとぞ」と言っていた――「御山」の麓にある寺には、中学生の菩一、住職を務める母、飼い犬のミク、そして父の弟・オツが暮らしている。父亡き後、住職の仕事を母に押し付け、お仏飯をかじりながら煙草を吹かし、寺の裏堂で寝起きしている男・オツ。彼は長い年月、「御山」の洞窟でノミを振るい、岩を穿ち続けている。いったい何の意味があるのか。「御山の番役」とは何なのか。菩一は問うてみたが、答えは返ってこない。その時、突然、激しい咆哮が洞窟に響いた。野犬の群れだ。「坊っ、火ばつけろ」。オツが叫ぶ。


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