現代より少しだけ後の時代。
あるウィルスによるパンデミックが世界的に発生した。
そのウィルスはヒトの骨を蝕む。遺骨にすら感染し、媒介しうる。
そのため全ての遺体は、薬剤により完全に溶かして処理することになった。
役割を終えた斎場では、民間企業による『VR火葬』が行われるようになった。
火葬と収骨を希望する遺族のために、故人の生前の写真から骨格データを生成し、VRつまり仮想現実において火葬を行うものだ。
カナモリ仮想葬祭は、ある市の斎場を借り受け、VR火葬を行う業者のひとつである。
ある日、カナモリ仮想葬祭に、本物の遺体が運び込まれる。
「斎場としての設備が残っているのなら、実際に火葬してほしい」
人と人の別れを問う、厳しくも優しい会話劇。