七十五歳の独り暮らしの男が、田んぼのあぜ道で瀕死の猫を拾った。
「これを食べたら助けてやるから、それまで待ってなさい」
――その何気ない一言から、彼の暮らしは大きく変わっていく。
猫の名は「初子」。お腹には五つの命を宿していた。猫エイズキャリアであることが判明し、病と向き合いながら出産・子育てに挑む初子と、彼の不器用な日々。かつて妻を癌で失った記憶が重なり、彼は再び“命”と向き合うことになる。
老いと孤独の中で芽生える、ささやかな希望と再生の物語。
――生きるとは、誰かを想い、見届けること。
初めての保護猫との日々が、静かに心を温めてくれる一冊です。