噂話や民間で語られたきた「猫に化かされた」「猫にだまされた」話を中心に、24の事例を収録しています(八丈島・青ヶ島)。
同じ土地で60年民宿を営んでいる「えいこば」ならではの聞き取り調査たち。
本書はその調査成果と、調査成果に対する著者の独自考察をまとめた1冊となっています。
単なる郷土誌でも観光案内でもない。
「猫」を切り口に八丈島の民俗・歴史・文化・日常を浮かび上がらせる1冊です。
噂話や民間で語られたきた「猫に化かされた」「猫にだまされた」話を中心に、独自調査で聞き取った24事例を掲載。(青ヶ島の話含む)これまで記録されることのなかった猫譚を収録しています。また、可能な限り「どの事例をどの話者が話していたのか、話者の名前、生まれ年」なども掲載されており、今後の「離島猫伝承の研究」にとって意義のある記録となっています。
調査のきっかけとなったのは、書籍『猫の王: 猫はなぜ突然姿を消すのか』。「えいこば」が『猫の王』を読んだ際、八丈島など伊豆諸島の事例が掲載されていました。
「八丈島の事例がのっているが、そういえば、身の回りで猫に化かされた昔話は結構あるな……」
と、ここから独自に調査をスタート。
それから2年、ついに本書が完成しました。
かつては、御蚕様を守る(ネズミ被害を防ぐ)ために飼われた猫たち。現代では観光客を迎える「島の顔」として愛されています。変化する暮らしと共に、猫の役割も変遷してきました。そんな、「かつての八丈島民と猫の関係性」と「現代の八丈島民と猫の関係性」を紐解く解説文を、文化人類学者・立柳 聡が担当しました。
「えいこば」の手書き原稿を読んだ際のあたたかみを再現するため、表記統一などの厳密な作業を行いすぎず、書籍化にあたり最低限必要なところのみ、補足・編集注釈を積極的に付け加えるなどの編集を加えました。
また、原稿にあった「八丈語(八丈島の方言)の台詞」をそのまま採用しています。
八丈語は、ユネスコに「言語」と指定されるほどには現代の音声日本語とは異なる存在ですが、日本語学者であり八丈語研究を牽引し続けている金田章宏が解説と対訳を担当し、八丈語話者でなくとも分かりやすく仕上がっています。
八丈島をご存知ない方向けに、「全域地図」と「本書で登場する場所を示した図」をカラーで掲載。また、前述のとおり、えいこば特有の言葉遣いや八丈島方言については、八丈語研究者・金田章宏が日本語対訳を担当しています。研究者だけでなく一般読者も、かつての離島で人がどのように生きていたのか、「猫」という存在をどうとらえていたのかが楽しめる構成になっています。
序 えいこばあと猫、旅のはじまり(監修者序文)
第一章 「猫の王」との出会い
『猫の王』との出会い
私は猫ではない(筆者考察)
第二章 八丈島に伝わる猫の珍奇談
まっぴるまの出来事(筆者が記憶より考察)
炭小屋と猫(筆者が記憶より考察)
伊郷名の出来事(筆者が記憶より考察)
男が歩いた花の道(筆者が記憶より考察)
三歳の男の子がきえた(昔の噂話より)
赤子の泣くまね(明治生まれの筆者父、西条新平の話より考察)
東山のデッジメの話(明治生まれの菊池菊四郎の話より考察)
青ヶ島でも見た(昭和11年生まれ金田みさ子の話より考察)
おじいさんの話(昭和11年生まれの筆者姉・奥山菊美の話より筆者考察)
つけんば(昔の噂話より)
樫立橋(明治生まれの吉田オツヱの話より考察)
おんたごう(昔の噂話より考察)
水海山の出来事(昭和7年生まれ沖山美登子の話より考察)
迎えに行った中学生の子供(昭和14年生まれ川上絢子の話より考察)
緑の衣の女(約40年ほど前にあったとされる噂より考察)
魂をぬかれたのか(約40年ほど前にあったとされる噂より考察)
幻覚を見せたか(筆者考察)
石積(約40年前のつり客の話より考察)
いすの上の猫(筆者姉・奥山菊美から聴いた、菊美の同僚の話より考察)
車のライトの光(昭和11年生まれの筆者姉・奥山菊美の話より考察)
ある日の出来事(筆者姉・奥山菊美から聴いた、菊美の同僚の話より考察)
消えた食パン(筆者が記憶より考察)
実兄の話(筆者の兄の妻・西条由美子の話より考察)
第三章 なぜ猫は人を化かさなくなったのか?
猫をめぐる思索あれこれ(筆者考察)
第一話 猫の行動と体の不思議をめぐる推測
第二話 猫の日常についての考察
第三話 現代の家猫考
我が家の周りの猫のエピソード(筆者考察)
第一話 ネズミ出没
第二話 猫の目の変化
第三話 野ら猫
人を化かさなくなった猫(筆者考察)
第一話 昭和・平成・令和の時代の八丈島の猫の変化
第二話 猫の変幻のからくり
第三話 「ほじょ(魂を)ぬく」のは猫の天賦の才?
筆者あとがき
監修者解説
立柳 聡(文化人類学)/金田章宏(日本語学)
タイトル:『八丈島の猫学~なぜ猫は人を化かさなくなったのか~』
著者:福田栄子(えいこば)
仕様:B6サイズ/フルカラー122ページ
価格:1,000円+税
ISBN:978-4-910368-04-7
文化人類学監修: 立柳 聡
八丈語(日本語学)監修:金田章宏
八丈語の日本語対訳:金田章宏
現地コーディネイト・写真:田代倫子(OCTOWORKS)
編集・デザイン・DTP:あだん堂
発行:ガーデン荘
発行協力:合同会社つばくら文藝企画(万年筆文芸部)
発売:ガーデン荘、八丈島内の書店、Amazonで順次取り扱い予定
印刷製本:株式会社グラフィック
※本書は、「えいこば」の自費出版(同人誌・個人出版誌)です。ISBNコード付与については、合同会社つばくら文藝企画(万年筆文芸部)と提携し発行協力をいただきました。