『漏刻博士(ろうこくはかせ)の都のこと』は、架空の町を舞台にした連作集。
時を進めるのをやめてしまった時守、翼をもつ漏刻博士、ピアノの音色で柄が変わる猫、元は鶏だった時守……。怪異や妖や人間が繰り広げる和風SF(すこし・ふしぎ)です。
第一作目『漏刻博士の都のこと』、第二作目(新刊)『神無月回廊』、どちらから読んでもお楽しみいただけます。何も起こらないようで何かが起こる、不思議な話がお好きな方におすすめです。神様も猫も出ます。よろしくお願いします。
『第一話 鐘楼守(しょうろうもり)』
八坂神社の長男・融のアパートに住み着き始めた主人公。融の留守中、町に思いを馳せながら部屋のビールを勝手に飲んでいたら、虎のような猫が鍵を配達しに来た。この鍵は一体? 猫の思惑は?
『第二話 鶏頭(けいとう)』
八坂神社の時守は、元ニワトリの鶏頭である。いつも周りに取り残される哀しさを抱えながら、今日も鶏頭は時鐘を打つ。ある日「龍が見つかった」という噂を聞き……。
『第三話 龍狩り』
融のアパートの居候と鶏頭は、龍狩りに参加することになった。龍狩りのための橋が架かるという奥社に向かうも、なんだか普段とは様子が異なる。噂を聞き付けた怪異も妖も龍も神までやってきてもう大騒ぎ! はたして龍はやってくるのか。