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へへへ

  • い-05 (小説|短編・掌編・ショートショート)
  • へへへ
  • へにゃらぽっちぽー
  • 書籍|A5
  • 188ページ
  • 500円
  • https://twitter.com/Henyarapo…
  • 2023/5/21(日)発行
  • へにゃらぽっちぽー兄さんがイカに乗ろうとしたり、へにゃぽちゃんがサンマを買いにいったり、ぽこたぺんぞう先生の名作『そよそよ海峡の干物』がアニメ化されたり、おすしがおいしかったりします。アジの干物もおいしいです。
    『へへへ』は9冊目のへにゃらぽっちぽー短編集です。どの本のどのお話からでも読んでもたのしいですよ。


            目次

    イカダ                 5

    おまつり               35

    たのしい家ですよ           40

    すぽーん               69

    ボロダポッチポーくん         72

    まめまき               92

    ミョウガ                      101

    すたこらさっさ           109

    干物をさしあげます         114

    ぽんこつ              154

    こばと               158



         ~試し読み~


     まめまき


    「にゃぽ、にゃぽ」

     へにゃぽちゃんは、さかなのあたまをわりばしに突き刺します。ぶすり。

    「へにゃぽ、へにゃぽ」

     玄関にかざりましょう。

    「へにゃらぽっちぽー! ぽっちぽ……ぽぽぽ?」

     なんということでしょう。へにゃぽちゃんがよくわからない儀式をはじめました。へにゃらぽっちぽー兄さんはくびをかしげています。

    「へにゃぽ、へにゃぽ」

     とげとげの葉っぱもかざります。

    「ぽぽぽ? ぽ?」

     なにをしているのですか。

    「にゃぽ、にゃぽ」

     これはですね、おまじないのようなものです。イワシとヒイラギです。オニさんをおいはらうのです。

    「にゃぽ、にゃぽ」

     そしてまめまきをします。へにゃぽちゃんは大豆をもってきました。オニのひとになげつけるのです。

    「ぽっちぽ! へにゃらぽっちぽー!」

     わかりました。準備をします。

    「にゃぽ? へにゃぽ……」

     どこかにいってしまいました。兄さんがオニの役をするのでしょうか。

     

     

    「ぽぽぽー!」

    「オニですこんにちは」

     ほんもののひとをつれてきました。

    「へにゃぽ!」

     こんにちは。

    「へにゃぽ、へにゃぽ」

     握手をします。ごつごつとした、りっぱな手ですね。

    「にゃぽぽ……にゃぽ?」

     オニさんはへにゃらぽっちぽー兄さんとお知り合いなのでしょうか。

    「こないだのおまつりでお会いしたのです」

     そういえば、兄さんはにんにくまつりに参加していました。帰ってきてから一週間くらいにんにくのにおいがしていたのを思い出します。

    「友人と行きたかったのですが……」

    「彼はにんにくが苦手なので、ひとりで参加しました」

     おともだちの吸血鬼さんは、にんにくが苦手です。

    「ぽっちぽ!」

     オニさんにペペロンチーノをいただいたのです。

    「ぽっちぽ! ぽっちぽ!」

     とてもおいしかったです。

    「恐縮です」

    「にんにくを加熱するときの火加減が重要なのです」

     オニさんはおいしいペペロンチーノをつくることができます。

     

     

    「にゃぽ! へにゃぽ!」

     そういえばイワシとヒイラギをかざったままでした。

    「へにゃぽ、へにゃぽ」

     たいへん失礼しました。オニのひとはこれが苦手なのですよね。

    「いえ、イワシはけっこう好きです」

    「ペペロンチーノに入れてもおいしいですよ」

     たしかにそのとおりです。

    「ヒイラギは刺さるといたいです」

     そのとおりです。

    「ぽぽぽー! へにゃらぽっちぽー!」

     刺さっています。いたいです。

     

    「へにゃぽ、へにゃぽ」

     失礼をしたおわびに、大豆をさしあげます。

    「へにゃらぽっちぽー!」

     いっしょにまめまきをしましょう。

    「へにゃぽ!」

    「ぽぽぽー!」

    「おにはーそとー!」

     大豆をそのへんにまきました。

    「よいしょ、よいしょ」

     オニさんが外に出ます。

    「へにゃぽ、へにゃぽ」

     外は寒いので家にもどってください。

    「ありがとうございます」

     オニさんが中に入ります。

     

    「へにゃぽ!」

    「ぽぽぽー!」

    「ふくはーうちー!」

     大豆を家の中にまきます。

    「大福ですこんにちは」

     こんにちは。なんだかぽっちゃりとしたひとが、まっしろな粉をまきちらしながらやってきました。

    「大きな福と書いて大福です」

    「おめでたいです」

     おめでたいひとです。そしておいしそうです。

    「いちご大福です」

     おいしそうです。

     

     

    「なんだかものたりないです」

    「もっとなげてください」

     オニさんは不満なようです。

    「えんりょなくぶつけてください」

    「このままではオニが居座ってしまいますよ」

     こたつに入ってくつろいでいます。どうぞゆっくりしていってください。

    「いやいや、そうおっしゃらずどんどんなげてください」

    「おにはそとです」

     オニさんは大豆をなげつけられたいようです。

    「へにゃぽ、へにゃぽ」

    「ぽっちぽ、ぽっちぽ」

     では、えんりょなくいきましょう。

    「へにゃぽ! へにゃぽ!」

    「ぽぽぽー! ぽぽぽー!」

     たくさんなげつけます。

    「おにはーそとー! おにはーそとー!」

     大福のひとも大豆をなげています。

     

    「だいまんぞくです」

     大量の大豆をなげつけられて、にこにことしているオニのひとです。

    「ぽっちぽ! ぽっちぽ!」

     へにゃらぽっちぽー兄さんもなげつけられたくなりました。

    「へにゃぽ! へにゃぽ!」

    「おにはーそとー! おにはーそとー!」

    「おにはーそとー! おにはーそとー!」

     全力でなげつけます。

    「ぽぽぽー! へにゃらぽっちぽー!」

     いたいです。

     

    「へにゃらぽっちぽー! へにゃらぽっちぽー!」

     なげつけられた大豆をぱくぱくと食べています。

    「せっかくなので私にもなげてください」

     大福のひとにもなげつけましょう。

    「へにゃぽ! へにゃぽ!」

    「ぽぽぽー! ぽぽぽー!」

    「ふくはーうちー! ふくはーうちー!」

     しっかりとなげつけます。

    「豆大福になりました」

     おいしそうです。

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