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「ようこそ、我が〈地下炉〉へッッ!」
蒸気機関全盛のこの時代、最もその恩恵に浴した国があった。
都市国家、帝都。
人々の生活に蒸気機関が普及したこの国は〈蒸気都市〉とも呼ばれ、
多大なる発展と発達を遂げていた。
*
いまその地に一人の女が降り立った。
機関化が進まぬ東の地より帝都へ赴任を果たしたるは南海楓。
帝都に支部を置く組織の実務員である彼女は後輩の教導のため、
世界随一の都市国家へ足を踏み入れたのであった。
初めての帝都では見るもの、聞くもの、経験するもの、なにもかもが新鮮で、
地方から出てきた楓は、その煤煙のすさまじさに目まいを覚える。
さて、こうした華やかな都会には犯罪もつきもの。
赴任先へ向かう路地裏にて、楓は遭遇してしまう。
仮面を着けた詰襟姿の一味、犯罪組織〈黄金の幻影の結社〉の構成員たちに。
自分はなにか変なことに巻き込まれたのでは。
いやな予感を覚えながらも話しかけようとする楓であったが、
いきなり連中に襲いかかられてしまう。
果たして彼女の運命は。
またその出来事を影からうかがう特高――特別高度警察隊の目があった。
*
いま帝都では密やかに人さらいが起きていた。
東部市の人目のつかぬ通りにて、浮浪者が連れ去られているのだという。
だが現場は路地裏、被害者は浮浪者とあって、警察はろくに動きもせぬ。
犯行の陰には〈黄金の幻影の結社〉の構成員の姿がちらほら見えるという。
となれば看過していられないのが帝都探偵協会所属の探偵、
わけても坂下探偵とその仲間たちであった。
路地裏で〈黄金の幻影の結社〉構成員を撃退した彼らは、
先ほどまで襲われていた女性の安否を気遣い接触を図る。
*
坂下探偵は楓が路地裏で見た存在について証言を求める。
すると楓は、あれは『地縛霊』ではなかったか、などと言いだして……。
*
そもそも『これ』は一人の男の焦りからはじまった。
彼女はただ巻き込まれただけにすぎない。
むろん、帝都では事件に巻き込まれるなど日常的であるかも。
もっとも、外国人の彼女にはそれが通用しない。
男の焦りは妄執の炎となり楓たちに襲いかかる。
暗翳の火床
探偵と巫女が出会う時、炎に封ぜられたものが天を求める。 ◇作品概要スチームパンク“風”を旗印に活動しております蒸奇都市倶楽部のシリーズ、
「〈蒸気都市〉帝都 ~幻影の双貌篇~」の第三弾です。
帝都に赴任してきた南海楓は〈黄金の幻影の結社〉の計画に巻き込まれる。
それは彼女の意思とは関係なく、やがて探偵や怪人が表れ、囚われの身に。
本文は18行×40文字、12級。
当倶楽部過去最大級の
文庫判532ページ!!
頒価も最大級の1500円ですが、自信をもってお送りします!
ぜひ一度お手に取ってみてください。
表紙・挿絵・カバーデザイン:へっぽこタルト
◆Web版あります!
全文を掲載しています。試し読みにどうぞ。
小説家になろう:https://ncode.syosetu.com/n2472gc/
カクヨム:https://kakuyomu.jp/works/1177354054894812479
◆注意 本作は当倶楽部発行『蒸奇都市倶楽部報 第一号「幻影機関」』(2013年発行・在庫なし・絶版)掲載の『暗翳の火床‐地下炉‐(前編)』ならびに 『蒸奇都市倶楽部報 第二号「鐡と金剛」』(2013年発行・在庫なし・絶版)掲載の『暗翳の火床‐灰かぶりの雨‐(後編)』『楓待つ山吹(暗翳の火床 補遺)』を大幅に加筆修正のうえで文庫化したものとなります。