綿毛の家族
- E-01 (小説|純文学)
- わたげのかぞく
- ナカノヒトリ
- 書籍|B6
- 86ページ
- 600円
- https://note.com/pentopan/n/n…
- 2024/1/1(月)発行
家族って、他人だよ。
郊外の一軒家で暮らす幸せな家族は、それぞれの思いを抱えている。
ママの不足とパパの不安、長女の劣等感と次女の羨望。
平和で、幸せで、息苦しい。
真っ白な子犬の「わたげ」と暮らす家族が織りなす連作集。
◆試し読み
【こんな人に】
☑いい子になろうとした、いい親になろうとした経験がある
☑円満でも家って時々しんどいな。と思う
☑しっかり話がつながる連作短編集が読みたい
☑犬が好き、犬を飼っている【各章紹介】
リビングの四角い窓の外からは、きっとそんな景色が見える。
私はいつも、それを見ている。
望みをポスターに託して壁に貼る。
理想通りにはならないけれど、これでたいていの望みは叶えてきた。完璧じゃない現実と理想の間で、私は不足を積み上げていく。(ママのポスター)
淀みなく回っていく。
まるでパズルのように、日々がうまくはまっていた。週末はワンオペ育児。男一人でもなんとかなるもんだ、と胸を張る。
在宅勤務も相まって、完成形の家庭はあっという間に形を変えた。俺は、妻の空白を埋める存在なのか。(パパの山芋入りお好み焼き)
しっぱい。
しっぱいするわたしなんて、ダメダメだ。大人が選んだセーターは、おしゃれだけど毛糸がちくちくする。
いい子だねって言われると誇らしい。安心する。その言葉がないと、わたしは息ができない。(長女のセーター)
どれを選べばいいのかなんて、
見ていればすぐにわかることなのに。
シラサギには種類がある。
わたしはそれを、簡単に見分けることができる。
見ていればわかる。その場の正しい振る舞いだって同じだ。お姉ちゃんはいつだって変わらない。
特別なお姉ちゃんとわたしが似ているなんて、もうだれも言わない。(次女とシラサギ)
タンポポは、
花びらに見えるところは個々の花なんだ。
囲もう。
家族の、平和で幸せな食卓を。(チップとデール)
