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第五回文学フリマ岩手(中止)出店者
暁を往く鳥
いと - へん 【糸 - 偏】
こちらのアイテムは2020/6/21(日)開催・
第五回文学フリマ岩手(中止)
にて入手できます。
くわしくは
第五回文学フリマ岩手(中止)
公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)
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いと - へん 【糸 - 偏】
いと へん
砂原藍
書籍|A5
28ページ
400円
http://eyes.suichu-ka.com/
2017/6/11(日)発行
『糸偏』のつく漢字からなる、掌編集。
『収録作品』
【糸】
【紡】
【縫】
【縁】
【組】
【結】の六編。
どれも数分程度で読めます。
『試し読み/本文より抜粋』
【糸】
何もかも、以前のように戻れる。 そう思っていた。
現実は違った。
残されたのは、投薬が必要な身体と鎖骨の少し上を真横に走る6センチの傷痕。
抜糸が不要な分、身体に負担はかからない。
溶ける糸で縫合されていても、手術をしたことは目に見えて明らかだ。
この傷がわたしの生きる証になると、ひとは言う。
死ななくてよかったじゃないかと、誰かの声を聴く。
そんな簡単に割り切れるものではないのに。
【縫】
共働きの両親を持つ一人っ子の私は、祖母に預けられることが多く、よく手仕事を眺めていた。
母は「危ないから」と私の前では縫物をしない人で、小学校中学年ぐらいには、
祖母の真似事をするようになった。
さすがに普段祖母が使う仕事道具には触らせてもらえなかったが、初めて指ぬきをもらった日には嬉しくて寝つけなかったほどだ。
裁縫を習う時には、祖母が『周りに合わせなければ』と、流行のかわいい裁縫セットを学校経由で一括購入した。
道具の手入れ方法は祖母が教えてくれた。
「手入れして長く使えば、次第にさつきの手になじむからね」
祖母はそれからも時折、繰り返し私に言い聞かせた。
【縁】
家を建てようと決めた時、夫は言った。
「縁側が欲しいなぁ……」
「えっ、書斎じゃないの?」
一人になりたい時もあるだろうと、お互い二畳か三畳分の小部屋をそれぞれ作るつもりでいた。
それに男の人は本を読まない人でも、書斎を欲しがると既婚の先輩や友人、そしてお互いの親からも聞いていた。
「それもいいんだけど……」
「何?」
「……縁側で、ひなたぼっこをしながら、猫を撫でまわしたいんだ……」
夫は若干、照れながらつぶやいた。
※2019年8月、岩手県花巻市の石鳥谷図書館に寄贈されました! 全国に貸し出しも可能です!
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