2021年の年末にオープンしたタメンタイギャラリー鶴見町ラボは、このほど1周年を迎えたところだ。立ち上げと最初の半年間の記録を紹介した初号に引き続いて、2022年6月から12月に開催した7つの展示企画の記録を中心にまとめたのが本冊である。オープン当初の企画よりも多少の余裕を持って準備を進められるようになり、少しずつ運営も軌道に乗っていこうかという期間にあたる。同時に、当初思い描いていたところから、現実に即して軌道修正を図っていった部分もある。
初号は手探りで刊行したものだったが、充分に手応えも感じられるものとなった。会期中の来場者以外にも展示を紹介することができるというのみならず、それぞれの作品が問うたものはなんだったのかと振り返りの機会になっていることの代えがたい価値に気付かされている。本号では、収録するすべての展示に筆者のテキストを寄せた。会場の運営側の立場であると同時に、最も長い時間作品とともに時間を過ごす鑑賞者としての立場からご紹介している。
展示を重ねていくなかで、少しずつ「タメンタイらしさ」のようなものが立ち現れてきたように思う。展示として発表されるに至るまでに捨象された「点」や「線」もあわせて紹介しようと始めたこの小冊子制作だが、企画ごとの連関も補助線として顕在化してきたのではないだろうか。
断片的な積み重ねが、いずれ価値の総体を大きくしていく──そんな美術の価値創造の過程に立ち会うことは特権的なものではなく、もう少し開かれたものであっても良いはずだという思いはそのままに、大胆な活動を地道に続けていきたい次第だ。読者にはぜひとも引き続き見守っていただけると幸甚だ。
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