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Cyber Sorcerer

  • い-17 (小説|ファンタジー・幻想文学)→配置図(eventmesh)
  • さいばーそーさらー
  • 高坂悠壱
  • 書籍|新書判
  • 142ページ
  • 1,000円
  • https://kakuyomu.jp/my/works/…
  • 2019/8/25(日)発行

  • 己が望む、

    唯一の黎明に至るまで。 

     ※本作品は「ディストーション」の外伝小説です。あわせて読むと、よりお楽しみ頂けます。 

    ▼あらすじ
    時は遠未来。
    幾度の文明崩壊を経て、この世界は元素と二進数により構成されるようになった。
    但し、人間を除いて。

    しかし、例外たる人間にも「更なる例外」が存在する。
    それこそが、元素と二進数によって体が構成されているヒト・中立子。

    フリーの荒事屋・三春煉も中立子であった。
    それも、或る種「規格外」と呼べる程の。

    侵食者且つ構築者である彼は、ある日、奪い去られた機密情報と主要予言者を奪還するよう依頼される。
    敵の懐へと潜入し順調に進撃していた煉であったが、その前方に美しき剣客が立ち塞がった――。
    銃と剣の織りなす、超速閃光のアクションSFファンタジーが幕を開ける!

    ▼web版

    https://kakuyomu.jp/my/works/1177354054893590246
    ※製本版のみ、書き下ろしSS2本収録。フルカラーカバー、帯付き(画像参照) 
    ※フルカラーカバー・口絵、モノクロ扉絵をいよ。さまにお描き頂いています。
     
    ▼本編一部抜粋

    『さーて、今回のお仕事の概要は?』

    「予言者パンタレイ、及び機密情報の回収。機密情報には強固なプロテクトが施してある。三日やそこらで解除できるものではないとは思うが、万一情報の流出が確認された場合は、出来る限り食い止めること。尚、任務遂行中に於けるあらゆる行為を許可する。お前が人を殺めようが何をしようが、我々が全責任を負う」

    『好みの女性がいたらナンパしても?』

    「冗談はよせ」

    『はいはいオーケーオーケ。つまりはこうだ。お宅ンとこの最上位“予言者(プレディクタ)”と機密情報が悪の組織に奪われちまって、このことが漏れたら椅子にゆったり腰掛けたお偉方がパニックになる。警備が甘いだの攻められるのも嫌だからさっさと取り返したい、でも今の段階で軍やら何やらを動かせば目立つし民衆にもばれかねない。成る可くこっそりひっそり片付けたいから君一人でよろしくねウフッ! ……って、ことだろ?』

    「……理解が早くて助かるよ全く」

    『この件さえ片付けることができれば、後からサッサと堂々とシンジケートを潰せるもんなァ? 奴らの〝悪いことやりましたポイント〟は貯まりに貯まって《色んな商品》と交換できる状態だし、突撃時のお題目には事欠かないだろうよ。君らが派手に攻め込めば攻め込む程、民衆の目には君らが勇敢で素敵に映る。俺はそのパフォーマンスのお膳立て、ってか? 毎度損な役回りだニャー、全く』

    「皮肉と愚痴なら後でたっぷり聞いてやる。それより、こちらとしては一刻も早く動いて欲しいんだがな」

    『はいはい解りましたよ。んじゃー、事前に解ってる相手さんのことと周辺の歪曲地点の位置を転送してくれ。あと、報酬はいつもンとこに振り込んどいてね。それじゃ』

     通信が切れて暫く経った後、

    「あの、信用に足る人物なのでしょうか? 今のではとても……」

     傍らに控えた青年から不安げに問われ、壮年の男は答える。

    「腕は確かだ、そこは信用していい。“単騎(ソロ)”であれ以上の奴は居ないだろうよ。ただ――性格に些か問題があるが」

     吐き出した呆れの溜息は、澱のように沈んで行った。


       ***


     十八世紀後半に起こった産業革命以降、人類は急速に科学技術を発展させた。

     だが、その進歩を得るために炎へと焼べたものが〝星の寿命〟であったのだと人々が気付いた二十世紀。この星は、既に滅びの運命を歩み始めていた。  人々は焦った。この侭では、自分達自身で生活圏たる青の惑星を食い潰してしまう――という理由だけではない。この侭では、愛する人が、子孫が、或いはそれに類する愛すべき存在が、何より最も愛しい自分という存在が平穏に暮らせなくなるのではないか。

     そんな博愛と共存意識と自己中心的な焦燥と危機感、或いは使命感によって、この星は幾度となく《延命》を施されてきた。そして、《延命治療》の反動で異常が起こる度に文明が壊れ、対症療法が成されてきたのだという。つまりは、その場凌ぎの緩和を繰り返してきたに過ぎない。

     無茶な《延命治療》が原因で、度々地殻変動や異常気象等の“災害(ほっさ)”が同時多発する。

     しかし、今より遡ること約四世紀。  通称「再生の日」に――これまで通りの災害に加え、《決定的な異変》が起こった。

     決定的な異変とはつまり、「世界を構築するモノの変化」である。  再生の日以前は、原子のみが物質の基本構成要素であった。だが、再生の日以降、それは二進数的性質を持つモノ(便宜的に「二進数」と呼ぶ)へと塗り替えられた。

     斯くして、万物は二進数より構成されている。但し、ヒトを除いて。

     とはいえ、物事には常に例外がついて回る。即ち、唯一例外的に原子より成る生物「現生人類」にも、更に例外が存在することに外ならない。

     その例外こそが、原子と二進数からなるヒト「中立子(ちゅうりつし)」だ。

     彼らは、生まれながらにしてIDという己の識別コードを認識している。それを次元の亀裂たる歪曲地点で発語入力――“開錠詠唱(ログイン)”することで、魔法や超能力の如し“構築式(プログラム)”が使用できるのだ。  中立子だけが、現次元へと亀裂より漏れ出た歪曲世界(歪曲空間)や、二つの世界を経由する目映い光輝を知覚しうる。

     情報と原子の海のダイバーたる彼らには、とある外見上の特徴があった。瞳や髪の色素発現種類の豊富さである。  例えばそれは、桃色の虹彩であったり、青い髪の毛であったり、それから――東洋人らしからぬ茜色の眼であったりするのだ。

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