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雨街で残響 上

  • あめまちでざんきょう じょう
  • 転枝
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 220ページ
  • 500円
  • 2018/03/25(日)発行
  •  誰も血の繋がった者がいない、僕は宙ぶらりんに世界に孤立した人間。唯一愛した人も、目に見えないまま一年が過ぎようとしている。たとえどれだけ念じようとも、信じようとも、彼女の存在はこの部屋にはない。幽霊のようにそこにはいない。

     雨の音が遠のいて、僕はそろそろ眠りたかった。

                                           『雨街で残響 上』 01「雨」より



    雨街で残響 上 紹介文と収録内容

     紹介文  

     浅草は「雨街」と名前を変えた。  

     一〇年前、大国との戦争によって降り注いだ科学物質の雨は、人々の身体を蝕んだ。遺伝子を壊され、子供を残すことができなくなった男女は、理由も分からないままお互いを愛し、傷付けていく。  辻村ヒビキは孤独だった。「ヒトガタ」と呼ばれる生物を殺しながら、退廃的な日々を送る彼の元に、今日もあの日と同じような雨が降る。いなくなった想い人の影を振り切りもしないまま、彼は身勝手で、中途半端な孤独に身を浸していく……。


     収録内容

     01「雨」  「ヒトガタ」を殺す仕事を、同僚のスズネとこなしていくヒビキ。ハイパーループ(超高速鉄道)の事故地で起こるヒトガタとの戦闘は、彼ら「雨」を浴びた者の独壇場であった。  仕事を終え、水上バスで「雨街」に戻るヒビキを迎えたのは、戦争の直後からずっとともにに暮らしていた、ショートカットの女の子だった。

     02「外套」  「雨」をもたらした戦争が起きてから一〇年。開戦記念日にヒビキは辻村家を訪れていた。テレビに映し出される過去の戦傷の街々。  雨街で行われる慰霊祭に連れられた彼と、雨樋にいるスズネには共通して想う街の色合いがあった。

     03「深海魚」  ハイパーループの事故現場、お台場駅地下八階へと探索を敢行するヒビキたち。奥に進めば進むほど、ヒビキの身体能力は向上し経過は安泰に思えた。  最深部には、ヒトガタとは似てもにつかない、白い巨人が鎮座して、ヒビキたちと対峙することになる。  

     04「廃品回収」  ヒビキの元恋人、そして義理の姉であるチトセが見つかった。「雨」を浴びたものがいずれ発症する「雨下症」に犯された彼女は、彼にとっては出会うはずのない幽霊そのものだった。  さらに、辻村家とヒビキの間にある色欲は、想像以上に彼らを蝕んでいたことが分かっていく。知らなければ良かった肉体関係は、いつも同じ屋根の下にあったのだ。

     

    その他情報

    表紙イラスト イツミミタ  

    著者 転枝

    サークル 木の葉スケッチ

    サイズ 文庫

    ページ数 230

    装丁 表紙一色塗り カラーカバー付き


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