こちらのアイテムは2025/10/5(日)開催・文学フリマ福岡11にて入手できます。
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喫煙週間

  • E-49 (小説|純文学)
  • きつえんしゅうかん
  • 原岡
  • 書籍|B6
  • 24ページ
  • 0円
  • 2025/10/5(日)発行

  • 2005年が舞台の短編小説です。以下、冒頭試し読み。
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     かつて、同年代の友人知人たちが乗っていた車の多くの、ナンバープレートは黄色だった。カーナビはついていなかった。けれど、道に迷ったという話は聞いた覚えがない。知らない場所へ行くことがなかったのか、あるいは、それほど遠くへ足を延ばすことがなかったのか。迷いながら走ること、それ自体をドライブとして楽しんでいた可能性もある。スマートフォンが存在しなかった頃の素朴な道行き。
     木村の車はいくつかの点で多数派とは違った。ナンバープレートは白で、カーナビもついていた(ただし、地図情報が古いままだったので、わたしたちは時々存在しない道にいた)。木村の車は親戚の叔父さんのおさがりだった。ドアは運転席と助手席のふたつで、車高は低かった。
     シルビア。ギリシャ神話に出てくる女神だか妖精だかの名をもつ車を駆って、木村は大学に通っていた。入構は東門からと決まっていた。門柱の脇には、電話ボックスを四つくらいくっつけたような大きさの守衛所があって、ガラス窓の内側に髪の白いおじさんがひとりで座っていた。
     わたしが目にする時には、二回に一回くらいの頻度で、おじさんは船を漕いでいた。起きている時は、こちらが会釈をすると手を振り返してくれた。


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