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オルタヴァリウム

  • A-13 (小説|エンタメ・大衆小説)
  • おるたヴぁりうむ
  • 川内祐
  • 書籍|四六判
  • 366ページ
  • 2,000円
  • 2024/10/7(月)発行
  • 人間は正しいだけでは生きて行けない――
    生と死、明と暗、始まりと終わり。雑多な物語たちが、ひとつの普遍的なテーマを語る掌編・短編集。

    目次・収録作品ひとこと紹介

    Fin. 終わりを知らない人々 ――――――――4
    Fin. 終わりを告げる文字。その文字が現れるのを私は待ち続けていた。続きはいらない。 ここで終わってくれ。
    その男の願いは届くのか。

    アンチクライマックス―――――――――――14
    1963年、ロンドン、ウェストミンスターで起こった猟奇連続殺人事件。通称「ウィスキーマン事件」。
    事件の関係者や証拠、調書、ほぼ全ての手掛かりが失われて50年。高層アパートの一室から新たな証拠が発見された。
    それをきっかけに起こり始めた新たな連続殺人。
    果たして犯人は「ウィスキーマン」なのか。その関係者か。それとも。
    英国家犯罪対策庁(NCA)の捜査官たちの活躍を描くアンチクライマックス・シリーズの第一弾

    春の毒――――――――――――――――――74
    「好きだ」という毒に侵される――
    古都を歩み、僕は春を捜し続ける。

    そう、――――――――――――――――――84
    元気という呪いが解けるまで――
    誰にも見えぬ場所に病を飼っている。 私自身にも。

    星夜の桜(中本探偵事務所シリーズ)――――90
    一枚の写真を手がかりに亡き祖母の秘密を追え――
    広島市安佐北区可部に看板を掲げる「中本探偵事務所」
    その小さな探偵事務所を、写真一枚片手に女子高生が訪れる。
    人物は写っていない。写っているのは二台のバイクと一本の樹。そして写真の裏には「神の矢を運ぶペガサス跳ねる空淡く照らして星夜の桜」という文字。
    「この写真の場所を探してほしい」
    その依頼に若き探偵中本稔は旨いものを食いながら答えを出してゆく。
    ミステリー風味の現代ドラマ、時々飯テロ。

    復啓、手毬花の色づきに――――――――――142
    宛てるべき人の居ない手紙は当然読まれることもなく――
    毎日一通手紙を書いて十年が経つ。 投函されない手紙は、整理されることもなく私の文机の上に、ただ積まれてゆく。

    太陽のアイスバイン――――――――――――148
    「死神の手」が私を生かし続ける――
    ベルリンの病院で外科医師として勤務する兼高こころは、一人の男を殺したことで地獄の道を歩き続けていた。
    そんな日々の中、彼女はベルリン州立図書館で「天使」と出逢う。
    命の問題に切り込んだ現代ファンタジー

    常備菜なワタシ――――――――――――――178
    料理教室の講師は「常備菜王子」なんて呼ばれていて私の体温を下げる

    華緋(はなび) スカーレットの垂れ糸 ――――184
    私の目にそれは柳というよりも曼殊沙華の花弁に見えて。独りで見る花火に意味はあるのだろうか。

    立葵、散る ~咲き続けたあなたへ―――――188
    梅雨入りと共に咲き始め、梅雨明けと共に咲き終わる。あなたは立葵。
    彼女は人生で咲き続けていた。

    水色の空―――――――――――――――――194
    雨の中を行く。殻に閉じ籠ることなく。
    「梅雨が好きだと」彼は言う 「それは嘘だ」と皆は言う 少女と小さな彼の虹を渡る物語

    シップスミスの白鳥――――――――――――200
    罠に捕らえられ、宿命に囚われる――
    双子の妹の死から一年。 私は妹と同じ罠にかかった。

    Down to earth ―――――――――――――214
    素朴で素直なキミは私の天使だ

    二重奏のバラライカ――――――――――――218
    サラ・シンフォニカにバラライカの音色が響く中、合衆国51番目の州への昇格を目指すプエルトリコ知事が殺害された。
    日本人探偵のキミハルは、容疑者となった親友のシルビオを助けるためプエルトリコに向かうが、シルビオの真意は別の所にあった。
    シルビオの真実を知った時、キミハルはどうするのか。
    正義はおそらくひとつではない。

    カサンドラの蛍――――――――――――――240
    私の夫の取扱説明書に 「こんな時はどうする?」 なんてページはどこにもないのだ

    焔の檻――――――――――――――――――244
    焔は燃やし尽くした。恨み以外の全てを――
    笹木辰虎は、警察を退職後、人の闇に触れるのを嫌い、田舎に家を買い静かに暮らしていた。 だが、そんな田舎でもやはり闇は人の心を蝕んでいた。

    重ねた嘘は夕日と沈め―――――――――――266
    最期の願いはもう一度娘と夕日を見ること――
    沈む夕日は尽きる命に重ねられてしまう。それでも私は夕日を見せなくてはならない。

    Swing Razor ――――――――――――――272
    幸福を呼ぶブランコが世界一小さな公園でスウィングする――
    港から船でほんの十五分。
    人口四百人弱の離島、桐島に作られた「世界一小さな公園」。
    その公園は白い柵で囲まれた中に、シュロの木が一本と、ブランコがひとつ置かれているだけだった。
    誰が造ったのか。島民の誰も知らない。
    海に沈む夕陽が映える「世界一小さな公園」で、全てが夕焼け色に染まる。

    化ける――――――――――――――――――284
    姿の変化に心も変わる――
    彼女はあたかも萩の七化けのように姿を変えた。 私の心も変わらずにはいられない。それほどの変化だった。

    Start to Rain ――――――――――――――292
    晴天に雨粒が舞う砂浜で物語は新たなスタートを切る

    時止めた夏をもう一度―――――――――――316
    あの夜から俺の時間は止まったままで――
    十四歳の夏休み。 大人になった今でも、あの瞬間に身体中から放射された熱の正体を説明できない。 初恋なんて言葉が相応しいのかもわからない。 たった一度会っただけ、名前すら忘れてしまったあの子にもう一度会いたい。 その思いを胸に、俺は想い出の地へ向かった。

    ストレイト――――――――――――――――328
    海辺に建つ青い屋根が印象的な喫茶「ストレイト」。「海峡」という意味の店名とは裏腹に、水平線を望む。
    その喫茶店には毎日常連客が訪れていた。夏の終わりのこの日も。

    あとがき―――――――――――――――――364

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