ジスーイ! (神聖自炊帝国式の挨拶)
文フリ参加者の皆さん、初めまして。または、お久しぶり。
さて、例の自炊学I+Aを出版してから実に三年の月日が経過した。厳しい冬の到来に備えて、暖炉の燃料にするために大量に印刷した自炊学I+Aだが、まさか全部売り切れてしまうとは思わなかった。いい迷惑である。おかげで冬の間がたがたと震えながら過ごす羽目になった。まあ、私の家にはそもそも暖炉がないわけだが。
それにしても、初版の自炊学I+Aは実に不備だらけであった。適当なページを開けば誤字が見つかり、別のページを開けば落書きが見つかり……あそこまで不備だらけの本を印刷するために、いったい何枚の紙が、何本の杉が、いくつの熱帯雨林が犠牲になったのかと考えるだけで涙が止まらない。鼻水も止まらない。どうやら花粉症である。伐採された杉の恨みだろうか。
一口に不備といってもいろいろある。例えば今現在、トイレの個室の中でトイレットペーパーが切れていてピンチであること。これは掃除のおばちゃんの不備である。そうでなければ誰かの陰謀だ。
しかしもっとも大きな不備は、自炊学I+Aなどという本を世に送り出してしまったことであろう。あれが世に出回っていたこの三年間、私はずっと後悔の念に胸を苛まれ続けていた。胸が変に高鳴ったり息苦しくなったりして、視界はバラ色で、あの人のことを考えるだけで幸せな気分になった。これが恋というものだろうか。
それはともかく自炊学I+Aはこのたび改訂され、またもや再版される運びとなった。内容面も大幅に刷新(主に誤字脱字の増加、図表の減少、可読性の喪失、不健全な語彙の使用等)され、デマをこれでもかと盛り込んで、より読者に優しい本に生まれ変わった。これで少しはマシになったものと思われる。
本当にマシになったかどうか判断するため、読者の皆様におかれては是非とも初版と改訂版の二冊を購入して見比べていただきたい。ほとんど変わっていないことが確認できるだろう。もちろん数理統計学に基づいて論理的に考えた場合、データの個数が多ければ多いほど正確な計算が可能になるため、三冊以上、可能ならば十冊ほど購入したほうが効果的である。
何はともあれ、こんな怪しいサークルの怪しい本の紹介をこんなところまで読んでくれてありがとう。感謝の気持ちで胸がおっぱいである。間違えた。胸がいっぱいである。
生まれ変わった自炊学I+Aを購入し、しっかり自炊について学んでいただきたい。初版の自炊学I+Aを読んでくれた人にも、あるいは読んでくれていない人にも、楽しめるように作ったつもりである。実際どうなっているかは買ってからのお楽しみ。落丁乱丁包丁以外の返品は受け付けません。
……ところで、誰かトイレットペーパー持ってない?
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