溶鉱炉第6号 作品紹介
「半身」 廣田かおる...
頭脳明晰、容姿端麗の姉、美花。その姉にコンプレックスを抱きながら大人になった双子の妹優花。ある日、姉の危篤の知らせを母から受ける。何不自由のない順風な人生を歩んでいたはずの彼女の身にいったい何が起きたのか。
「世の中の大抵のことは金で解決できる」 中野亮
融資を断られ、倒産寸前の会社から逃げ出した大橋公也。交際相手のDVを恐れ、早く別れたい香椎理沙。謎のバーで働く松山くん。みな一様に考えることは「金さえあれば……」。軽妙な会話と洒脱なユーモアで独特の世界観を描きだす。
「戦艦島の乱」 泊貴洋
かつて炭鉱で栄えた「戦艦島」。炭鉱が閉山し、廃墟となったあとにも食堂を営み、住み続ける一つの家族がいた。島のリゾート化計画が持ち上がったとき、バラバラになった家族が取った驚くべき行動とは?
「競馬ニマツワル物語~本命スペシャルウィーク~」 吉山行男
競馬場でしか会うことのない初老の男性ヤスさん。本命党のヤスさんに対して、穴党の自分。90年代末の競馬場を舞台にヤスさんや自分がスペシャルウィークに寄せた思いとは? 馬券にまつわる喜怒哀楽の物語。すべての競馬ファンに捧げます。
「椿先生と奈々」 近藤太
高校二年、最後の倫理・政経の授業、終了五分前。「不倫がなぜよくないかというと、自分のパートナーを信用できなくなるからです」真面目を絵に描いたような椿先生が突然、とんでもないことを話し始めた。いったいその真意とは?
「彼女が笑う世界」 義経友紀
デパートで、街の雑貨店で、店員を困らせることで自尊心を満たしていく浜松明枝。何が彼女をそうさせるのか? 見栄、プライド、対抗心……。中年女性特有の暗部をテンポのよい会話を中心に筆者独自の視点で描いています。
「夕焼小焼」 さとう大根
ある炭鉱町に引っ越してきたKの一家。昼間から酒を飲む男が闊歩し、怒号が飛び交うその町は熱い活気に満ちている。新参者一家の末っ子の視点から描かれる、どこか懐かしい匂いが漂う純文学。
「クリーニング屋さんへの恋」 矢森順子
スーパーの一角にあるクリーニング店。そこの店員に淡い恋心を抱く僕。店員と客、ではなく、もっと進んだ関係になりたいのだが……。彼女のちょっとした表情や言葉に心が揺れる、青年期特有の気持ちが甦ります。爽やかな風が駆け抜ける恋愛小説。
「下駄ばき機、南海に飛ぶ」 増田原樹
1945年8月15日。アメリカからも日本からも忘れられたスラバヤップ島の警備隊に日本の敗戦が伝えられた。敗戦を聞いた彼らの胸に去来したのはどんな思いだったのか。太平洋戦争のニッチな部分に光を当てた、新しい視点の戦争小説。
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