【概要】
そよ風文芸食堂が最初に制作した作品であり、短編・掌編小説集の第一作。4つのストーリーと編集後記で構成されている。
書名の由来は、しあわせをテーマにした作品を集めたということと、制作しているのがそよ風文芸食堂であることから、料理(文芸作品)を詰め合わせたもの(ランチボックス)で『しあわせランチボックス』となった。
また、 当初からシリーズ化を予定していたため、号数を付ける際に『ランチボックス』に関連して『第一食』とした。
第一食のキャッチコピーは『しあわせをギュッと詰め合わせました』。
【あらすじ】
『ファイト』
初冬のある夜、受験生(高校三年生)の亮は塾の授業が終わってもなかなか帰ろうとせず、教室に残ったまま時間を潰していた。その理由は共に同じ大学への合格を目指している、彼女の楓と顔を合わせたくないからだった。
楓は成績優秀で、塾でも学力が最も高いクラスに所属している。一方、亮は一番学力が低いクラスで、どんなに勉強をしても成績が上がらない。
亮は楓と同じ大学へ行くのを半ば諦め、塾の模試も勉強をせずに受けて散々な結果になってしまった。この日はその答案が返された日。塾の外で一緒に帰ろうと待っているであろう楓と鉢合わせしないように、わざと帰宅を遅らせているのだ。
授業が終わって数十分後、さすがに楓は帰っただろうと思った亮は塾を出る。だがそこには寒さに震えながらも待ち続ける楓の姿があるのだった。
観念した亮は覚悟を決め、楓に対してある行動に出る。
『情けは人の為ならず』
高校生の修治は、冬休みを伯父の家で過ごすため列車に乗って下北半島の大畑へ向かっていた。その途中、大湊線の車内に中学生くらいの地元の女の子が乗ってくる。
やがて客室内に車掌がやってきて検札を始め、その女の子は定期券を取り出そうとした。しかしどこかで落としたのか、見当たらない様子。しかもお金も持っていないらしく困っている。車掌は女の子に不正乗車の疑いをかけ、次の駅で降りるように指示する。
最初から不正乗車だと決めつけて女の子にキツイ言葉を浴びせ続ける車掌に対し、腹が立った修治はついに……。
『聖火のゆらめき』
中学生の瀬戸は両親から虐待を受けていた。学校はその事実を知りつつも、厄介事に巻き込まれるのが面倒だと見て見ぬ振りをしている。瀬戸はそんな大人たちをドライに捉えつつ、自分の境遇を受け入れて日々を過ごしていた。
そんなある日、転校生の蘇我と会話をした事がきっかけで瀬戸の運命が大きく動き出す。
『病気』
高校生の幸平は幼馴染みの望美から頼み事をされる。次の日曜日に望美はバレーボールの試合があり、その日に弟の健太の面倒を見てほしいというのだ。また、健太が応援に来たがっているので、連れてきてもらえないかとの事だった。幸平は渋々その頼みを引き受ける。
試合当日、幸平が望美の家に行くと健太が風邪をひいて寝込んでいた。そんな状態でも健太は望美の試合の応援に行きたがっている。そこで幸平は健太を病院へ連れて行き、その帰りに少しだけ寄るという事で話を落ち着かせた。
こうして幸平と健太は病院の帰りに試合会場へ足を運んだのだが……。
【備考】
・本文モノクロ38ページ/右開き/縦書き/2段組
・ホームページにて立ち読みが可能です
http://homepage2.nifty.com/breeze/tachiyomi/tachiyomi-siaran01.htm